「親知らず」は子が親から手が離れたころに生えてくることから、その名前がついたともいわれています。
このいわれに表れているように、ほかの歯が生え揃った後に出てくるのが特徴です。
親知らずは、正式には第三大臼歯(智歯)といいます。
この歯のトラブルで来院する患者さんで最も多いのは、口腔清潔が行き届かず虫歯になった人です。
萌出(歯が歯肉から口腔内に現れること)前に痛みを訴える人や、周囲の歯肉が腫れる人もいます。
痛みを訴える声も「ズキズキする」「体が温まると痛くなる」などさまざまです。
親知らずは、出てくるのがほかの歯より遅いので、もともと生える場所が十分ではありません。
このため、親知らずとして出てくる歯は小さく、根が曲がっていたり、横を向いて前の歯を押していたりします。
また現代人は、顎が小さい人が多いといわれます。
これは例えるなら、七人掛けのイスに八人が座っているような状態です。
歯列から押し出されてしまう歯が生じ、歯並びが悪くなることがあります。前の歯に当たって萌出できないこともあり、
放置すると前の歯の根が押され、溶けてしまうこともあります。
親知らずは、奥に顔を出す上、不規則な生え方をすることもあって、普通の歯ブラシが入りにくく、磨ききれない場合もあります。
この結果、歯や歯ぐきに汚れが残り、細菌がたまって虫歯になりやすくなります。
特に季節の変わり目や、体に疲れがたまったときは注意が必要です。
全身の抵抗力が落ちて細菌の活動が活発になり、痛みや腫れの症状が出やすくなります。
重症になると痛みで眠れなかったり、食事が満足にできなくなる人もいます。
さらに、もし膿がたまって血管に入り込むと血液を介して全身をめぐる危険性もありますし、
内側に腫れれば気道が狭まり呼吸困難を引き起こす恐れもあります。
口腔だけではなく、全身の問題に発展しかねません。
虫歯になった親知らずや、炎症を起こした周囲の組織を治療しようとしても、場所が奥まっているので機械が入りにくく、治療の制度を高くできないことがあります。
このため、直してもトラブルを繰り返すことがあります。
日常生活に支障をきたす痛みや腫れがあるときや歯列を崩す原因となっている場合などは抜歯を勧めることが多くなります。
一方、顎の大きさが十分にあり歯列にそってきれいに生え、上下のかみ合わせもうまくいくようなら、親知らずにもかむ機能が期待できます。
そのまま残して使うこともできますが、異常を感じたら早めに受診してください。
歯や歯肉を守るため、定期的なチェックは不可欠です。
親知らずは食文化の影響でほとんどの方がきれいに生えきらず痛みが発生し抜歯に至ります。
親知らずは抜かないといけない場合はなるべく早く抜いたほうが良いです。
理由は歯並びを崩す 痛みが繰り返される 若い方が治りが速い 大事な永久歯がダメになる などです。
腫れる方が多いため気持ち的には逃げたくなることわかりますが頑張っていただきたい処置の一つです。